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酒米の不足 [農村だより2012]

12月29日(土)午前

 日本酒業界内の話題です。今の日本の米作りの状況からみると、かなり違和感を感じますが、酒造用 原料米の分野では、米が足りません。一般の食用米を振り向けて、必要数量に対して数合わせをしている状態ですが、本質的には酒造好適米(酒米)の使用量が相対的に少なくなり、酒のクウォリティーに影響が出てしまいます。

 今までこのブログでも問題を提起してきましたが、我が酒造業界の動きはとても鈍くて、問題が発生してさえも、酒蔵の反応は「他人事」のようです。

 酒米の不足は、深刻な構造的な問題なので、一朝一夕に解決できるものではありません。来年以降さらにその深刻度を増していきます。お金で解決できる問題でもないので、財務力のある酒蔵でも、原料米の調達には大変な努力が必要になります。

 農家サイドでは、高齢者の離農が進み、大規模営農・組織営農に収れんしていきますので、その過程で 米の品質低下が必ず起こります。物理的な作業能力を超えて作付してしまう傾向が顕著ですので、これは 間違いありません。

 ただし、品質を維持しながら規模拡大を図る我々のような営農組織ももちろんありますので、概論と個々の具体例は必ずしも一致しません。

 私が10年前の春、たった1枚の田んぼから始めた酒蔵による自社栽培の取り組みは、こうなるであろうと いう時代の流れの必然性からのものでした。

 酒蔵が必要とする酒造好適米を自社で生産し、その必要とする品質と数量を確保するというのは、究極の調達法ですが、やはりやっておいてよかったと思います。

 これから米作りに真剣に取り組む酒蔵も増えてくることと思いますが、時間との闘い、権利との闘い、行政との闘い、膨大な資金調達、いろいろな困難が待ち構えています。粘り強く取り組んで、いっしょに日本酒のドメーヌを目指していきたいものです。
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土地に精通するということ [農村だより2012]

12月28日(金)午前

 25日の朝、ブログ書き込みをしたあとに、ご近所で建物火災が発生。仕込みの準備をしていましたが、急遽白衣の上に雨具を来て現場へ急行。消火栓からの放水を開始。35歳で地元の消防団を退役しましたが、
こういう時はOBだろうと、年寄だろうと関係なく、村人みんな全力で消火活動に取り組みます。

 残念ながら火元は全焼しましたが、けが人もなく、類焼も免れ、とりあえず被害は最小限に食い止めることができました。火事の現場はもとより、弊社にも関係者が駆けつけて来てくれて、大変心強かったです。厚く御礼を申し上げます。

 鎮火まで、放水の筒先を担当していましたので、その後両腕の筋肉がプルプルしていましたが、それなりの働きができてよかったと思っています。

 火事現場の消火活動は、水利・機関・筒先の連携が必須条件です。消火栓の場合は、ホースをつなぎ、バルブをあけるだけで放水できますが、エンジン・ポンプを使用する鎮圧消火の場合は、訓練された現役消防団員が組織的な指揮命令系統で動くことが求められます。

 その際に最も重要なことは、水利、即ち大量の水を如何に素早く確保するか、ということです。これができるのは、その土地の用水路を熟知している人材です。それを的確に行えるのは、地元の人間以外にありません。

 改めて「土地に精通すること」の重要性を思います。その土地に暮らし、その土地の人間としての自覚を持ち、その土地を知り尽くす、これは農業者以前に、生活者として絶対に必要なことです。
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年末の餅つき [農村だより2012]

12月25日(火)午前

 昨日一日で40センチほどの積雪。これで根雪です。ちょうどホワイト・クリスマスの趣き。厳しい冷え込みで、外はガチガチに凍りついています。

 酒蔵の中では、仕込みと並行して出荷の作業がフル回転で続いていますが、新年を迎える準備も始まりました。お餅をついて、お鏡餅をつくり、神棚のお掃除と〆縄の張り替え。

 昔は杜氏さん、蔵人さんたちが石臼で餅つきをしていました。みんな住み込みだったので、賑やかでした。4人で杵つき回す餅つきで、返し手なしのすごい餅つきです。ひと臼つくのはあっという間で、和釜に蒸籠を6段重ねくらいだったでしょうか、乗っけて、だるま落としのように下から抜いて、臼へ持っていきます。

 4人の連携、阿吽の呼吸、スピード感、忘れられない年末の餅つきですが、通勤制・週休制の酒造体系に変わり、スタッフもすべて代わりました。今では、家庭用の小型餅つき機で少しずつスタッフの人数分ののし餅をつくり、お鏡餅をつくっています。気が付けば、石臼での餅つきを経験しているのは私ひとりになりました。

 
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2015年問題 [農村だより2012]

12月22日(土)午前

 昨日、市内の小中学校では終業式があり、中3の長女も通知表を持って帰ってきました。さあ、冬休みだと呑気にしている暇はないはずの受験生。しかし・・・・

 糸魚川駅周辺では、北陸新幹線の糸魚川駅舎建設が着々と進んでいます。2015年3月には金沢までの区
間で北陸新幹線が開業し、糸魚川から乗り換えなしで東京駅まで行くことができるようになります。
 
 この新幹線開業を契機として、交流人口が増えるだろうと期待する地元経済界ですが、実際はどうなるでしょうか。ストロー現象がさらに進むような気がします。

 地元に魅力的な生活の場を如何にしてつくるか、これがとても重要です。糸魚川で若い世代が夢と希望をもって生活できる基盤をつくること、それが責任世代に求められています。外からも中からも魅力のある生活の場、それがどんなものか・・・・。

   

   
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Sakeのバリエーションについて [農村だより2012]

12月10日(月)午後

 11月からこの12月にかけては、日本酒の業界も随分と賑やかです。新酒、新酒、新酒・・・・。そういう我が社でも「しぼりたて生酒 雪見酒」を8日に発売しました。12月だけの期間限定出荷ですが、新酒は季節の風物詩みたいなもので、製造方法が特別なものではありません。

 それにしても、発泡性のものや、色つき(白やピンク)、低アルコール・タイプのものなど、様々なタイプの日本酒が楽しめる時代になりました。

 そのバリエーションたるや消費者を楽しませるには事欠かないほど揃っています。いいですね。香味の幅 も広く、熟成の長短もあり、原料米の違いもその中に織り込まれつつあります。
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インフラストラクチャー [農村だより2012]

12月4日(火)午前

 一昨日の日曜日、朝の報道番組を見ている最中に、中央自動車道 笹子トンネルの天井板崩落事故のことを知りました。突然の事故で亡くなられた方々のことを思うと他人ごとではない、もしかしたら自分であったかもしれないという重苦しい気分になりました。

 社会人になって24歳で自動車の運転を始めて以来、あの笹子トンネルは実家へ帰るたびによく通り、酒造業界に身を投じてからは、東京出張でしばしば利用してきましたので、目を閉じても沿道の景色が鮮明に浮かぶくらいです。

 各種報道によると、トンネル完成以来35年が経過しているにもかかわらず、一度も補修なり補強をしてい ないとのことで、事故というのは起こるべくして起こるものだと、改めて思います。

 社会のインフラというのは、行政府が管理監督して成り立ちますが、大きなところで大事なことが抜け落ち ていたようです。大きな犠牲を払ってしまいました。今から真剣に老朽化した社会インフラの点検・補修にあ たってもらいたいものです。新たな公共投資よりも、既存の施設をしっかり整備することを優先すべきです。
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都道府県別の生産数量目標 [農村だより2012]

12月1日(土)午前

 12月に入った途端、事務所の窓の外は雪景色です。冬型の気圧配置で、強い寒気が南下して来ています。今年の冬も雪が多いのか、また除雪に苦労するのか、少し憂鬱な気分です。しかし、酒造りの環境としては非常に安定して低温となり、空気も格段に清浄化されますので、歓迎すべき冬の使者でもあります。

 さて、昨日の続きのようですが、案外知られていないのが都道府県別のコメの生産規模です。新潟県がコシヒカリのトップブランド産地であることは衆目の一致するところだと思いますが、実際に47都道府県でどれくらいコメが生産されているのか、それを2013年産主食用米の生産数量目標(農林水産省、11月29日付)で確認してみましょう。

  北海道 57万2940 (単位はトン)  
  青森   25万9220
  岩手   28万6350
  宮城   38万0770
  秋田   44万6430
  山形   37万4200
  福島   35万5860
  茨城   34万8890
  栃木   32万1550
  群馬    8万0300
  埼玉   15万6600
  千葉   25万5700
  東京        810
  神奈川   1万4630
  新潟   54万5670
  富山   19万6260
  石川   12万9400
  福井   13万3360
  山梨    2万8500
  長野   20万4400
  岐阜   11万9160
  静岡    8万5980
  愛知   14万0130
  三重   14万8740
  滋賀   17万0380
  京都    7万8770
  大阪    2万6980
  兵庫   18万7940
  奈良    4万3040
  和歌山  3万6120
  鳥取    7万0700
  島根    9万6090
  岡山   16万6040
  広島   13万4400
  山口   11万6350
  徳島    5万9810
  香川    7万3490
  愛媛    7万6180
  高知    5万1750
  福岡   19万1240
  佐賀   14万1540
  長崎    6万5240
  熊本   19万7710
  大分   12万2650
  宮崎    9万9130
  鹿児島  11万5520
  沖縄       3040

合計791万トンが2013年産米の生産数量目標です。

 こうして数字をながめてみると、都道府県ごとのコメの生産規模がよくわかります。この数字は主食用米ですので、酒造好適米についてはその詳細は不明ですが、新潟県においては全生産量のおよそ3%が酒造好適米です。わずかと言えばわずかな数量ですね。

 米の生産現場は、マクロの視点とミクロの視点の両方から見ることが大切です。テロワールを語るにも、県単位の大きな地域性を言うのか、根知谷のような小さな農村単位で言うのか、その具体的なイメージのスケールの出発点が、こうした都道府県ごとの生産規模になります。
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2013年産のコメ事情 [農村だより2012]

11月30日(金)午後

 新聞やニュースで来年2013年のコメについて、生産目標数量が出されました。その数791万トン。6年連続の減産だそうです。

 これを都道府県別に割り振り、さらに市町村別に割り振ります。最終的には集落単位にまで精密に目標値が示され、市町村単位で調整し、都道府県単位で権利の売り買いまでします。

 ちょうど昨日、新潟県酒造組合の講話会があり、組合の首脳と県の醸造試験場の関係者が、酒造好適米の生産事情について説明をしていました。

 その内容は、今年も五百万石が不足していて、組合員である酒蔵には迷惑をかけている、とのことでしたが、今後も構造的な問題で、酒造好適米の必要量を確保することは大変厳しいと言っていました。

 どういうことかと言うと、コメの消費量が減少傾向にある中で、農家の減少と世代交代が進み、生産効率を追求する動きの中で、特殊な分野である酒造好適米が敬遠されつつあるとのこと。

 なるほど、農家の立場で考えれば至極当然のことで、そこに特別な事情なり、農家にとって有利な条件がない限り、酒造好適米の生産に取り組んではくれないだろうと思われます。

 もうひとつ、農家の世代交代が進む過程で、長い年月ををかけて培われた栽培管理技術が継承されずに、失われていってしまうという危惧です。

 いずれにしても、コメを原料とする日本酒のメーカーは、これからコメの生産現場(農家・農村)と直に関わりを持つことが必須の条件になります。
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TPP以上に怖いこと [農村だより2012]

11月22日(木)午前

 12月16日は衆議院選挙の投票日ですが、政党乱立の中で、様々な政策が打ち出されているようです。主な争 点は、
・原発をなくしていくのか
・TPP交渉に参加するのか
・消費税の増税と社会保障制度改革はどうするのか
・地方分権のあり方は
・憲法改正をするのか
といったところでしょうが、ここではTPPについて書いてみます。

 TPP:言わずと知れた「環太平洋パートナーシップ協定」ですが、我々農民にとって直接的に影響の強い問題です。先日、テレビの報道で、新潟県の農協組織がTPP交渉参加に断固反対する決議をしていました。当然と言えば当然のことですが、実はそれ以前に、もっと重大な問題があるのです。

 もう何回も書いてきたことですが、新潟県は稲作主体の農業経営で、大半の米作り農家には後継者がおりません。高齢化が進み、耕作放棄がもう数年以内に深刻な問題となります。

 TPP反対のハチマキをしてがんばってみても、その前に農村そのものが崩壊するかもしれない、いや、時間的には確実にその方が早いと思います。

 もちろん、国内の農業を守るためには、TPPは参加しないにこしたことはありません。しかし、それと同時に、しかもそれ以上に力を入れて取り組むべき課題があるのです。

 なぜ、農協幹部はそれを言わないのか。政治的なパフォーマンスにかけるエネルギーを少しでも次の世代の育成にそそいでもらいたいものです。直面している問題に対する時間軸の感覚がズレている、或いは間違っている、ということです。

 苦し紛れの大規模営農は、必ずいつか破たんします。もうすでにその問題が表面化していますが、その現象を的確にとらえている人たちはほとんど見受けられません。どういうことかわかりますか?
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ボージョレ・ヌーヴォー [農村だより2012]

11月17日(土)午前

 15日午前0時、ボージョレ・ヌーヴォーが解禁になりました。根知谷のような山の中に暮らしていても、車で10分走ればスーパー・マーケットの売り場に数種類のボージョレ・ヌーヴォーが大量に並んでいます。

 毎年のことですが、我が家にも15日にはこのフランスの新酒ワインを送って下さる方がいて、恒例のように私たちも今年のボージョレの味わいを楽しむことができます。

 新聞の報道にもありましたが、今年のボージョレは歴史的な不作の年で、生産量が例年の半分しかないのだそうですが、日本には昨年並みの輸入量で、いかに日本のマーケットが重要か思い知らされるニュースでした。

 日本国内のワイン産地、ワイン生産者も盛んにヌーヴォーの出荷を宣伝し、各地で様々なイベントを開催しています。ワインの市場は「ボージョレ・ヌーヴォー」を一大イベントとして、話題を提供していますね。

 日本酒の世界でも、すでに「新酒」を出荷しているメーカーはありますが、ただ単に「新酒」或いは「しぼりたて生酒」と言っているところが寂しいなあと思います。もちろん「新米」で仕込んだ「新酒」、今年2012年のお酒でしょうが、「ボージョレ」や「勝沼」といった「産地」の情報がないですから、例えば先ほど書いたように、ボージョレは歴史的な不作だったけれど品質はいい、とか、勝沼は素晴らしい豊作の年だったよ、という情報がついてきません。

 「ガメイ」にしても、「甲州」にしても、ワインの楽しみの中ではブドウの品種を語ることも常識ですが、日本酒の「新酒」には何も語られていないのが現実です。物足りない感じがします。

 我々根知谷では、「五百万石」と「越淡麗」の2つの品種を栽培して、それぞれ単独で仕込んだり、ブレンドしたりして製品化していますが、ひとつの品種だけでも品質の差があったり、栽培方法の違いがあって、非常に奥の深いおもしろさがあります。

 そうしたところをもっともっと消費者に伝える努力を続けなければと思いながら、今年もボージョレ・ヴィラージュ・プリムールやアルガーノ甲州を美味しく頂きました。
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